エレクトロスモッグシンポジウム

エレクトロスモッグ(電磁波公害)について知識を深め、対策を紹介していきます。

【講演】電磁波の健康影響に関する講演会

「電磁波の健康影響に関する講演会」

大磯のノジマ大磯スクウェア大研修室にて行われたセミナーに行きました。

総務省経済産業省、電磁界情報センター、情報通信研究機構による講演でした。

https://omc.co.jp/denjiha2023/index.html

 


今日の講演でも痛感しましたが、行政では、リスク部分についての内容や、予防原則についての内容が無く、現実的に不安要素として起きている出来事や研究、海外の疫学調査等に対して、言葉や数字の見せ方の錯覚等で、安全と取れるような言い回しで始終講演が展開されていたこと、海外資料等の重要なポイントが引用文の中で削られている等していたこと等、全体的に違和感がありました。

 


基本的には、1000μW/cm2以下であればどのようなシチュエーションでも、長時間浴び続けても大丈夫、との認識のもとでお話をされているのですが、どのような人工物でも、どんなに使っても大丈夫というような説明をこれまであまり聞いたことがありません。

 


電磁界情報センターが発行している「プレママのための知って安心、電磁波のこと」冊子では、一部「普段の生活環境の電磁波であれば、長い間、何回浴びても影響はありません」とのコメントがあり、この表現は、コンプライアンス的にもどうなんだろう。区役所の母子手帳等を受け取るような場所に置いてあるそうです。

 


一方、様々寄せられている参加者による事前質問では、多くの人達の率直な不安の声や、実際に既に健康被害にあわれている方、周囲に電磁波由来の健康被害をされている人がいた上で投げかけられている質問が多くみられました。会場にいらしていた方々にとっては、講演側が安全という姿勢を取っているのに対し、これらの質問の数々が、結果的に問題を会場の人たちにお知らせしているような形にもなっていたのではないかと感じました。

 


下記にそれらの質問と総務省の回答、私自身の見解をまとめました。

 



電磁波の健康影響に関する講演会事前質問・回答集

 


・一般からの質問

総務省回答

⭐︎私の見解と実際

 


・高周波電磁波曝露モニタリングについて、街中での測定結果の値が低すぎるのでは?どのように測定場所を決めているのか?

 

https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/ele/body/1-01.pdf

地上20mで0.0003mW/cm2→0.3μW/cm2

地上50mで0.00006mW/cm2→0.06μW/cm2

地上200mで0.0008mW/cm2→0.8μW/cm2

地上500mで0.00001mW/cm2→0.01μW/cm2


  →情報通信研究機構では、身の回りの電波について網羅的に把握するため、都市部・市街・郊外等様々な環境で測定を行い、測定方法についても様々な測定方法で行い、得られた膨大なデータを分析している。


  ⭐︎室内や街中等に電磁波が溢れるようになってから、一般家庭用の電磁波測定器を持つ人達も増えてきました。家庭用では誤差が生じる事もありますが、目安としては十分なくらい、質の高い測定器もあります。総務省が実際に提示するような低い数値というのは、一生懸命歩き回らなければなかなか見つからないような状況ですし、例えば都心では、あちらの携帯基地局から(5G機能利用の性質上100m間隔で設置されているため)500m離れていたとしても、すぐ至近距離には2、3基あるという環境下であって、総務省が提示している数字には多くの矛盾があります。


実際の数値では、路地等に入って平均して0.5μW/cm2程度、大通りの交差点では1−5μW/cm2、所により7μW/cm2を超える場所もあります。また、路地であっても周りに携帯基地局、特に最近では5Gの基地局が見えるようなところでは、その道や基地局の位置の条件等によっては、5μW/cm2ー7μW/cm2も出ている所もあります。これについては、5Gが町中至る所に設置されている状況下にあっては、この表記自体が4Gの時代の表記水準である可能性が高いため、改めて測定をし直し、より誠実な数値を割り出して掲載する必要のある箇所なのではないかと感じました。

 

 

 

 


・携帯基地局からの電磁波による健康被害を受けているが、政府による救済策はあるのか?

・健康影響を防ぐために研究を実施する予定はあるか?

・2012年に日本弁護士連合会から携帯電話の使用頻度と健康被害との実態調査の実施について意見書が出されているがどのように考えているか?

 


  →携帯電話基地局は、電波防護指針をもとに運営されており、安全が確保されていることから、総務省では救済策の検討は行っていない。

 

 ⭐︎基本的には、下記のあらゆる質問内容について、1000μW/cm2以下であれば長時間、長期的に、何度あたり続けても安全である、というスタンスのみで回答されているため、実際の健康被害が報告されているしきい値である1μW/cmから1000μW/cm2の間の様々な条件や環境等による安全性についての指針というものは全く検討されていません。

 

 

 

・携帯電話基地局の設置に際して、携帯電話事業者から土地所有者や近隣住民への説明が不十分であることは問題ないのか?

 


  →総務省では、携帯電話事業者に対して、基地局の開設に際して掲示や資料配布等の方法で周知を行い、基地局は発射する電波の安全性について説明を求められた場合、電波防護に関わる規制を厳守るす旨を説明する事等を要請している

 


  ⭐︎現状としては、説明が不十分のまま押し進められる事も少なくはなく、住民間とのトラブルや、実際に設置後体調を崩し引っ越しを余儀なくされるケースというのが後をたちません。

 

 

 

 

 

 

・4Gから5Gへの移行等、携帯電話の世代があれば周波数等の変化もあるが、健康影響との関係について教えてほしい。

  

 →携帯電話が使用する高周波領域の電波については、300GHzまでの周波数の電波について、熱作用による人体の健康への悪影響がないために、十分な安全率を考慮して指針値を定めています。4G、5Gだけでなく、将来的に新たな通信方式や、より高い周波数帯を使用した無線システムが導入された場合でも、安心して利用する事が出来ます。

 

 ⭐︎4Gから5Gへの移行の問題点については、周波数の変化以上に、5Gの機能を活かす為に設置される膨大な携帯基地局の数にあります。コロナ禍移行たった2−3年で数十万基の携帯基地局が増え、昔から訴えのあった基地局による健康被害はごく一部の人達の問題ではなく、とても身近なものになりました。また、「将来的に」新たな通信方式としてより高い周波数帯を使用した場合の安全性は、まだその研究が進んでいない今の段階では先回りして安全性をうたえるものではありません。

 


スマートフォンについて、就寝時側に置くのは良くないと聞くが、電源を切った状態であれば電磁波の影響はどうなのか?

 

  →スマートフォンは電波防護指針を満たすように製造されていますので、電源または機内モードのオン・オフに関わらず、就寝時にそばに置いても問題ありません。機内モードであっても、設定によってwi-fibluetoothを利用出来る機種もあります

 


 ⭐︎スマートフォンやパッド等の端末は、常に高周波電磁波を発しています。室内で電波の拾いにくい場所ほど高周波の数値が高くなるため、睡眠の妨げとなり、不眠を訴えている人の中には夜間スマホwi-fi等の電源を切る、等して睡眠の質が劇的に改善したり、なかなか治らない倦怠感がなくなり仕事のパフォーマンスが上がる、等の人は増えており、総務省の回答との矛盾があります。

 


集英社出版のCREAの記事では、寝るときにスマホを枕元に置かない、寝室に持ち込まない事を推奨しています。

https://crea.bunshun.jp/articles/-/37288

民間の雑誌や新聞等が電磁波の影響についてや改善策等についてを、模索を重ねて掲載しているものに対して、そうした媒体では正しい情報が発信されていない可能性が高い、との内容をお話しされる場面もありましたが、中には実際に改善された例に基づいて、公的な指針が無いがゆえにできる限りの民間のメディアなりの予防原則を紹介している時があるため、それらの情報は可能な限り自己責任のもとキャッチするべきと感じました。

 


また、スマホ等のwi-fiBluetoothは、2段階設定になるときもあるため、設定画面からオフにしないとオフにならないことがあるため注意が必要です。意外と高い高周波を出し続けている時があります。

 

 

 

・家から20m先に携帯電話基地局があり電磁波過敏症になった人がいる。安心して睡眠を取るために電磁波防護対策をどうしたらいいか

 →WHOは近年実施した化学論文の詳細なレビューに基づき現在の証拠からは低レベル電磁界曝露により健康への影響は確認出来ないと結論したが、生物学的作用に関する知識にはなお欠落部分があり、更に研究する必要がある。

 ⭐︎安全ではない側面については知識的な限界があるため、あくまでこれから研究を進めていく段階であり、安全とはいいきれない段階であることを示しています。外からの高周波電磁波を避けるためには、遮蔽シールド等で確実に電磁波を低減させる事が望ましいと言えます。

   

 


・4、50年前と比べて電磁波の影響で人の健康に何か違いが見られているか?

 →特に変化はありません。電波ばくろ自体の問題ではありませんが、過度なスマホ依存やゲーム依存が成長期の子供の発育影響が懸念されています

  ⭐︎コロナ禍でテレワーク等が主流となり、5G基地局が2、3年で実に数十万基もの個数で急速に増えたことで、室内外と想像を超える高周波の増加があり、それに対して一般の中で知識が追いついていけていない状況の中、たった数年間で多くの人達が電磁波の影響を感じ、意識をするようになった経緯については説明がされていませんでした。

 


高周波電磁波は、動画や画像等、データ容量の大きいものほどその数値が高くなるため、(例えばzoomやsns等で動画送受信等を行っている時、常に1−5μW/cm2、条件によっては50μW/cm2もの高い数値で長時間使用をしているケースが数年前に比べて急速に増えている)それにより体調を崩している人が増えている可能性が高い中、電磁波だと特定しているケースはごく少数で、情報も少ない中、5Gとワクチンやコロナウィルスとが関連しているのではないか、といった内容を信じたり、電磁波による諸症状を全てワクチンが原因であると考える人が増えています。


電磁波過敏の諸症状は、軽いものから重いものまで、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下、湿疹、乾燥肌、呼吸困難等が挙げられ、コロナ後遺症と酷似しています。そのため、コロナ関連情報と電磁波による症状とを結びつける様々な情報がありますが、不安定な情報には出来るだけ触れないように、と注意深くなる必要がある一方、多くの人達が見えない影響に対して適切な情報を得られず情報難民となっている顕著な表れとも言える、情報の交錯による2次被害、3次被害が増えています。

 

 

(以下、実際の健康被害に触れた内容をまとめます)

 


・電磁波で健康被害が出ている方々がいるがそれでも安全と言えるのか

 


・電磁波による被害を訴えている日方がいるにもかかわらず現地の調査をしないで安全だと言う理由を教えてほしい

 


SNS、ネット謙作で携帯電話を長時間使用すると健康影響が生じるのか?

 


・携帯電話の通話は長期的にどれくらい健康影響があるのか?

 


・携帯電話の電波について脳への影響が平成10年頃にマスコミ等で報道されていたが現在はそういった報道が無い。

 


・電磁波は子供の成長への影響があるのか?

 


・携帯基地局電波による健康被害を訴える人がいることを踏まえ電波の専門家だけでなく人体の専門家の意見も聞きたい

 


・携帯基地局が建設された移行体調が悪化した方がいるが安全と言えるのか

 


・子供が強い頭痛を訴えるため、MRI検査も受けたが原因が分からなかった。携帯電話の基地局が100mいないに2箇所ある事が分かりシールドカーテン等電磁波対策をしたところ頭痛が治った。頭痛の原因は電磁なの影響と考えられるのではないか

 


・健康全般に対する影響として、家庭での電磁波曝露による影響があると考える人の訴えの中に、頭痛、不安、自殺と抑うつ、吐き気、倦怠感、性欲減退等がある

 


 →現在のところこうした健康問題の少なくとも一部は環境中の騒音やそのほかの要因、あるいは新しい技術の存在に関連した不安によるものかもしれない。等。

 


 ⭐︎どのような症状、要因でもそうですが、原因と思われる要素を一旦取り除いた時に体調が良くなっていけば、取り除いた対象が原因となっていたのであろうと考えるのがごく普通の考え方ですが、ことさら電磁波の場合のみその発想がすっぽり抜け落ちている事があります。しかし、症状を訴えている人たちが、室内Wi-Fiから有線LAN使用等に切り替えたり、携帯基地局からの高周波を遮蔽したり、スマホ等の端末使用時極力電波利用を減らす等することで体調がどんどん良くなっていった、そのような事象が多数ある場合には、シンプルに、Wi-Fi基地局からの高周波電磁波が原因であるだろうと考えるのがごく自然な流れです。

 


電磁波による影響の事を出すと、しばしば、別要因としてストレスや室内空気質、騒音、照明のちらつき等の別要因を提示されます。WHOファクトシートの電磁波過敏症に対する臨床医に向けた推奨では、

 


「影響を受ける人々に対する処置は、その人の症状及び臨床像に焦点を当てるべきであり、職場や家庭の電磁界の低減または除去の要望等、その人の人地上の要求に焦点を当てるのは良くない」

 


「医師と患者との間に効果的な関係を確立し、患者が症状克服の方策を立てる手助けを行い、職場復帰及び通常の社会生活を目指して患者を励ます事を治療の目標とするのが望ましい」

 


等とされているものの、現状では電磁波の影響については、企業からも行政等も、公的な指針が一切無いために、自分の身は自分で守るしかないような状況に対して、更にそれを妨げるような項目については、適切ではないと言えます。

 


 電磁波の影響で健康を害している可能性がある場合に、出来るだけ早く、遮蔽や電波利用から距離を置く事等も示してあげなければ、明後日の方向での対処、対策をしても当然改善はされず、どんどん体がおかしくなってしまいます。そのためのリスク回避としての指針は必要不可欠であり、これを妨げることは、体調の改善への道のりを妨げてしまう事に他なりません。

 

 

 

 


・・・以上が、今回の講演での質疑応答の内容です。

 

電磁波の健康被害を受け総務省に連絡をしても、「そのような話は聞いたことがない」と言われてしまう現状がありますが、実際には多くの人たちがどこに相談をしたら良いかわからず、もう 20 年以上も前から総務省に連絡をする人も多い中にあっては、その事実がきちんと共有されておらず、組織的に機能をしていないか、内容自体が隠蔽をされている可能性もあります。また、この講演では、国民の電磁波に関する健康相談に関しては、民間の媒体である電磁界情報センターが相談窓口となりますとの記載がありましたが、実際には、民間の媒体ではなく、総務省が高周波電磁波に関する健康相談窓口、経済産業省低周波電磁波に関する健康相談窓口となるのが本来の健全なあり方であると言えます。

 

講演内容は、安全安心の側面のみをベースとしていましたが、一般からの質問には実際に健康被害にあわれた方やある程度知識のある人による質問も多く、結果的にそれを通して会場にいる人たちが他問題に気がつくような節もありました。このセミナーは同じプログラムで月に数回全国各地で行われており、オンライン参加も出来るので、講演側ではなく会場にきている人達に、その問題点を知っていただけるような意味も含めてのするどい質問を寄せていくのも良いかもしれません。

 

電磁波の健康被害を受け総務省に連絡をすると、「そのような話は聞いたことがない」と言われてしまう現状がありますが、実際には多くの人たちがどこに相談をしたら良いかわからず、もう 20 年以上も前から総務省に連絡をする人も多い中にあっては、その事実がきちんと共有されておらず、組織的に機能をしていないか、内容自体が隠蔽をされている可能性もあります。また、この講演では、国民の電磁波に関する健康相談に関しては、民間の媒体である電磁界情報センターが相談窓口となりますとの記載がありましたが、実際には、民間の媒体ではなく、総務省が高周波電磁波に関する健康相談窓口、経済産業省低周波電磁波に関する健康相談窓口となるのが本来の健全なあり方であると言えます。

 

 

 

12月19日に、電波ばく露レベルモニタリングシンポジウムというセミナーが日本橋にて行われます。

 


https://www.nict.go.jp/publicity/event/2023/12/19-1.html

 

 

 

主催は国立研究開発法人情報通信研究機構 電磁波研究所電磁波標準研究センター電磁環境研究室となり、総務省や電磁界情報センター等も講演を行なっており、こちらへの参加も予定しています。