エレクトロスモッグシンポジウム

エレクトロスモッグ(電磁波公害)について知識を深め、対策を紹介していきます。

【コラム】総務省、厚生労働省の方々との意見交換の場

先月、病室Wi-Fi協議会に対する助成金推進についての質問状及び意見交換の場として、衆議院議員大河原まさこ先生同席のもと、総務省厚労省の人達4人と、私を含む市民会の4名で開催された小さな会がありました。

病室Wi-Fi協議会とは、フリーアナウンサー笠井信輔さんを中心とした有志により作られた団体で、コロナ禍において患者さん達の通信ツールの充実を計る事で、医療機関、病室でのWi-Fi環境作りを推進するための協議会です。


これにより、病室Wi-Fi設置工事に厚生労働省補助金がつき、(同年9月に終了)マスコミに活動が取り上げられる、といった背景の中で、徐々に 病室にWi-Fiを設置する病院が増えていきました。


市民会からは、もし助成金等による推進で、多くの病院の病室でWi-Fiが稼働する、といったような事があれば、現在電磁波過敏を発症している人達にとっては、いざ病気になった時に、どこにもよりどころがなくなってしまうので、やめてほしいという事を、各省の、今後の流れに対する考えについての質問とともに、お伝えしました。


Wi-Fiの電波で?と首を傾げることもあるかもしれませんが、Wi-Fi電波は、その機材、その環境、室内壁面等の素材によって、0mW/m2以下を保ってくれる事も多いですが、一方で、出力が強く、その室内環境や、使う端末、扱うデータ量等によっては、部屋中が常に2−10mW/m2をこえることもあります。私のアトリエがまさにこれでした。朝から晩まで居る病室ですから、ここは、0mW/m2以下を保っていたいところ。


病院は、いっとき日常から離れ、体を十分に休めるところですから、通信は、病院指定のリビング等限られた場所に留めておいて、病室では、ゆっくり本を読んだり、休んだりしたいものですよね📚

 

私も、当事者としてのお話をさせていただきました。その前に、「皆さんは、『電磁波』と聞いて、何を思い浮かべますか?」とご質問をさせていただいたのですが、誰も答えることが出来ませんでした。そこで、簡単に電波、磁場、高周波のご説明をさせて頂き、測定器をお見せして、これを持ち歩きながら、外では高周波数値が出来るだけ低い場所を選び、室内では数値をゼロにするようにしながら過ごしている旨をお伝えしました。測定器はEMF-390、アメリカ製品で、電波、磁場、高周波の3つの数値を測る事が出来る簡易的なもので、高価な測定器に比べれば数値の誤差があるかもしれませんが、これを目安として対策を行い、十分役にたっているものです。

 

私からのご質問については、情報流通行政局の方々だったので、せめて高周波くらいは把握して説明出来なかったのかなと不思議に思いました。

また、担当の方の一人は、こういった話(電磁波に悩む人たちの話)を聞いたことが無い、ともおっしゃったのですが、これについては、かれこれ20年も前から、携帯基地局や電波塔の関連で、既に健康を害している方々の事象が確認されはじめ、2007年には国会で電磁波過敏に関する保険適応や救済措置、対策等が請願され、(時期ちがいで、高周波を扱う上でのリスク管理についても言及されています)2012年には日本弁護士連盟も、各省に対して意見書を提出する等している事象に対して、総務省内部でその共有がなされていなかった、という事を浮き彫りにしたものでした。


総務省では、一連の電磁波についての市民からの様々な声をまとめてレポートをしているものがあります。

 

https://www.soumu.go.jp/main_content/000366589.pdf

 

総務省のリンクの5より
「電磁過敏症」については、症状が確かに存在すること、ただし電磁波ばく露と結びつける科 学的根拠がないこと等が WHO のファクトシート で明示されており、本検討会としても同様の見解 です。電磁過敏症の治療に当たっては、同ファク トシートに記載のとおり、医療専門家等と協力し て症状の軽減を行うことが適切と考えられます。
本検討会では、「電磁過敏症」に関して、電磁 界の人体への影響について客観的・科学的に実態 を捉え、確かな科学的根拠のあるデータを、関係 者に広く提示していく努力を続けていくことが 必要であると考えています。

 

総務省リンクの6より
本検討会では、「電磁過敏症」に関して、電磁 界の人体への影響について客観的・科学的に実態 を捉え、確かな科学的根拠のあるデータを、関係 者に広く提示していく努力を続けていくことが 必要であると考えています。今後とも、本検討会 において、最新の科学的知見の収集等により、生 体電磁環境に関する検討を継続していきます。

と記載されています。

 


しかし、若手の方々にそうした一連のやりとりの流れが伝わっておらず、把握し切れていないのだとすれば、国民の健康を預かる立場である各省における体制そのものが、現状では機能していないという事になります。

 

他方、総務省としては、国内の研究そのものが、日本の環境(日本は経済的に豊になっている一方、小さな島国であることは、忘れてはならない事項です)に見合った独自の研究を進めていないなか、その検討会に全ての判断を委ねているために、健康被害の報告があったとしても、右から左へと流していかざるをえないジレンマというのがあるのかもしれません。


現時点での研究内容が必ずしも正しいというわけではない中、その軌道修正を行う事ができるのは、他でもない総務省厚生労働省等ですが、それをする事が出来ていないのです。


一つ、私の祖父が、古美術商としての専門家として多くのきっかけづくりに尽力し,他専門家とともに告発に関わった、三越事件のお話を例に挙げてみます。

三越事件では、三越が開催した古代美術品として展示されていた9割の美術品が贋作だったのですが、それを三越が意図的に捏造をしたのではなく、池袋の古美術商から買い取った品々がそもそもの贋作だった、という一件があります。鑑定をしたとされる海外の鑑定機関も架空のものでした。三越側は贋作だったとは思いもよらなかったという様子だったそうですが、それが発端となって、当時の社長が辞任し、その水面下では池袋の古美術商オーナーが、迷宮入りとなった殺人事件にまで巻き込まれた、という事件です。

構図としては、三越が古美術商を信じて得た美術品の数々を、告発のその時まで三越も、三越に訪れた多くの古代美術品好きな人たちも、信じ切っていた、という形になっていて、三越もまた、被害者でした。

 

三越は社会的信頼性も高く、その三越が、大手をふるって開催している展示会の9割が偽物である事は、来場者の中で気がつく事が出来るのは、ごく一部の専門家だけ。それ以外の人達は、疑う余地もありません。三越三越で、専門家、専門機関に任せているので、安心して展示が出来る、と思っていたでしょう。けれども結果は違いました。

 

これと似たような事は、実に多くのところに存在しています。電磁波に対する認識についても、これと似たところがあるのかもしれません。


電磁波の安全性については、多くの人たちは、何の疑問も持たずに現状での安全とされている内容を信じています。けれども健康被害をうったえる人が多く存在する以上、安全とわからない部分に対しては予防原則をしっかりと提言し、リスク管理を促していく必要のある分野でもあります。

それぞれにとっての「真実」と、現実的に起こっている上での「事実」がくい違っている以上、必要なのは、いくつもの統計から再検討され、導き出される真理と研究成果のあり方そのものです。

総務省が全ての見解を委ねている研究機関や検討会が必ずしも正しいとは限らないことを今一度見直し、研究機関もまた、自分達の見解が必ずしも正しいとは限らないということを、多くの市民の声の一つ一つを拾い上げて、それを元にした研究・検討会というものが成立しない限りは、これからも、思いがけない形とタイミングで、体を壊し、生活が一変してしまう人達が増え続けていくのです。