エレクトロスモッグシンポジウム

エレクトロスモッグ(電磁波公害)について知識を深め、対策を紹介していきます。

【コラム】政府と、大学・医療機関・物理学者による研究論文や資料との矛盾

日本の電磁波の安全規定数値には、既に出されている大学や医療機関等の研究論文が生かされている、と言えるでしょうか。

 

100年前に比べて、近年の電磁波の増加状況は1兆倍とも言われている現代。ここ数年でも、ますますその量とリスクが増え続けている中、私たちには、電磁波に対する認識と規定数値、場合によっては安全な使い方等のガイドラインが必要不可欠になってきています。

 


日本では、この電磁波の問題については、総務省傘下の生体電磁環境研究という機関が、電磁波に関する安全性とその規定数値を判断していくための研究所とされており、経済産業省傘下の電磁界情報センターもまた、「電力設備電磁界対策ワーキンググループ」の政策提言を受け設立された、電磁界リスクコミュニケーションの増進を目的とした中立的な常設機関として、電磁波に関する様々な情報を発信しています。ところが、多くの大学や医療機関等、優秀な研究者の方々が既に出されている論文や資料等をみていると、通信会社や電力会社等の関係者でメンバー構成されている生体電磁環境研究や電磁界情報センターのその内容とは矛盾点が多く、電磁波についてのごく入口というような当たり障りのない内容にとどまっています。また、総務省等では、電磁波過敏の身体的な症状(倦怠感や頭痛、皮膚の灼熱感、鬱や神経症状等)については、職場等でのストレスや精神的なもの、と片付けられてしまっています。

 


しかし、例えば私の場合であれば、MacBook ノートパソコンを5秒でも触ったその腕いっぱいに、ぼこぼことした凹凸のある湿疹ができます。その湿疹は、後に真っ赤になり、次の日には消えてしまいますが、ひどい湿疹ではかさぶたのように残る場合があります。それに伴い、ひどい頭痛が起こります。重度の時期には、1ヶ月以上ほぼ何もできず動けなくなり、1日1件の連絡ごとをこなすのがやっと、という状況になったこともあります。「きのせい」として片付けるには、物理的に無理のある状況です。

 


また、だいぶ前、いまのようなひどい電磁波過敏症ではなかった時に経験したこととして、使っていた携帯を落としてしまい画面が割れてしまった事があります。そうすると、その日から、画面の破れた携帯を使うと腕に赤い湿疹が出来るようになってしまったので、破れた携帯が原因かも?と、すぐに修理をして直したら、湿疹は出なくなった、という経験があります。

 

 

精神的な問題や、神経症からくる思い込みであれば、このように、物理的身体的症状はおこりません。


破れた携帯で湿疹が出たり、直すとおさまったりというメカニズムは、私は専門家ではないので説明は出来ませんが、その経験以降、時々電車や街中で見かける、バキバキに画面の破れた携帯を熱心に使っている若者を見かけると、ちょっとうすら恐ろしい感じがするようになりました。

 

はじめはこの症状を、漠然と「電磁波の仕業」と理解していましたが、電磁波にも、電場、磁場、高周波等、いくつかの種類があり、それらが複合的に絡み合い、長時間かけて体に作用した末に、頭痛やめまい、皮膚症状、体調不良等、具体的な物理症状をおこしてくるものだということがわかってきました。

 

例えばノートパソコンの場合、電場による体内への対電と、ワイヤレスで使用する場合の高周波による細胞の深部への影響とが重なり合い、長期的にこの状態が続くと、体調を崩します。特に,本来気をつけなければならないのは、大きなデータを通信する際に高周波の数値が高くなる、ということです。これがスマホの場合であれば、電波の届きにくい奥まった部屋では、端末が電波を一生懸命キャッチしようとするために、この数値が高くなります。本来ノートパソコンとスマホの組み合わせでテザリングなどはしない方がいいのですが、誰もそのような注意をしてはくれません。

 

 


「携帯を使うと脳腫瘍のリスクが高くなる」というのはもうガラケー以前から言われていた事ですが、あまりその辺りの話題に興味のなかった私でも、その話が頭をよぎりました。その後も、携帯ばかりではなく、iPadでも同じ現象があったため、とにかく、スマホタブレットから必要以上の高周波がはみ出てこないように守られているんだ、と理解していました。

 

また、電波塔の問題に直面している方々のエピソードも、どこか遠い存在のように思えていたのですが、今回ひどい症状に苛まれるようになってからは、電波塔も、携帯も、パソコン等の身近な電子機器も、HI家電やホットカーペットまでもが、電磁波(電場、磁場、高周波)という目に見えない、でも多かれ少なかれ人体に影響のあるものとして、一気に線で繋がったのです。

 


つまり何が言いたいかというと、実際に原因となる対象に触れたり、対象物の状況により、具体的な支障がおこる現象を、「精神的な問題、ストレスが原因」と片付けるには、あまりにも研究が足りていない現実があるということ。安全性を保つためには、一般市民が複雑な専門知識を取り入れ、工夫をし、対策を行わなければならないのです。

 


生体電磁環境研究や、電磁界情報センターでは、「人体に影響はない」としていますが、言い切ってしまうところ不自然さがあります。様々な大学や医療機関の研究論文では、生命に有害な影響がある、遺伝子損傷の可能性がある、とのエビデンスを論文にしているものが多く、そこに、今現在電磁波過敏を訴える人が増え続けている、という実際の疫学的要素を加えると、政府の主張と矛盾していることがわかります。

 

この電磁波問題についての研究は、現状では更なる研究が必要だ、というように曖昧に論文を終わらせざるをえないことも多い分野であり、その「今は答えがでない」ということこそが、本来正しい答えなのです。そして、わからないことが多いからこそ、今は、あらゆる可能性を考えて、安全性の高い使い方を同時に追求、推進していく、というのが、市民に対する思いやりなのです。

 

海外では、電磁波については疫学を尊重しているところが多いですが、実は日本でも、既に「電磁波過敏症患者の救済等に関する請願」が第168回国会 厚生労働委員会で出されており、「電磁波で健康影響を受けた人が、治療を受けられる医療環境、社会復帰や治療を支援する支援体制、電磁波や化学物質のない治療・居住環境を整えること」の実現を要請しています。

 


https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/168/yousi/yo1681190.htm

 


つまり2007年時点で電磁波による健康被害についてを政府がある程度認識した上で、問題提起が国会レベルで出されているのです。そこから15年以上もたった今では、今の電磁波による影響は、より複雑に、より広範囲に広まっています。政府がそれに対して認識をしていないはずがなく、2007年の時点で、少しでもこの要請がすすめば、今、医療機関でも「電磁波過敏症」の診断書を受け取れる世の中になっていたかもしれません。ひどい症状にまで発展する手前で、色々な検査をしても原因不明とされる症状に対して、「もしかすると、電磁波の影響では?」と、一言指摘をしてくれる医師も増えていたかもしれません。

 


そういう世の中になるように、これからも、私の経験と学びを、引き続きご紹介していきます。過敏症になってしまった私のかわいい子供たちのため、周囲の理解が得られるような世の中にしていけたらという想いでいます。この話題に少しでも興味を持っていただける方がいらっしゃいましたら、応援、ご連絡等も歓迎です。

 


childrens.mama.health@gmail.com